斤量が競馬で1キロ1馬身なのか関係ないのか調べてみた

うまめし.com 競馬必勝法の北村です。

競馬には斤量と呼ばれる負担重量が出走各馬ごとに定められていて、その斤量による競走結果への影響がしばしば話題になります。斤量なんて大して関係ない、強い馬はそれでも勝つ!と言う人もいれば、斤量を重要視する人もいます。

一般的には1キロ1馬身(0.2秒差)の影響があると言われていますが、あんたそれホンマに自分で調べたんかいな?と思ったので私が今回調べてみる事にしました。

先に結論から言うと「強い馬には多少の斤量差関係ありません!」という事になります。

検証開始

使用したデータは中央競馬の芝・ハンデ重賞の過去10年間分。

ここ10年間では59キロが4頭いるだけで、59.5キロ以上の重いハンデを背負った馬はいませんでした。馬が故障しては困るのであまりに重い斤量は負担させないようです。

私の記憶では地方競馬の園田でアラブのワシュウジョージが2001年の摂津杯を確か62kgで勝っています。しかし、さすがのワシュウジョージも62kgで勝てたのは摂津杯と他に2レースだけでした。(62kg全成績3.4.1.1)

ちなみに意外な結果ではあるんですが、実はハンデ重賞においては斤量が重ければ重いほど馬券に絡んで来る確率は高くなっています。

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率
~49kg 2- 0- 0- 55/ 57 3.5% 3.5% 3.5%
49.5~51kg 5- 13- 7- 219/ 244 2.0% 7.4% 10.2%
51.5~53kg 35- 36- 46- 685/ 802 4.4% 8.9% 14.6%
53.5~55kg 77- 80- 90-1147/1394 5.5% 11.3% 17.7%
55.5~57kg 100- 94- 80- 873/1147 8.7% 16.9% 23.9%
57.5~59kg 27- 25- 22- 211/ 285 9.5% 18.2% 26.0%

まあ考えてみれば斤量を重く設定される馬は、それだけ能力があるとみなされているから重い斤量なのだから、それだけ良い成績を出せるのは当然ですね。

前走1着馬だけに絞り込んでみる

まずハンデ重賞において前走1着だった馬だけにデータを絞り込んでみました。理由は18頭立ての18番人気のような馬よりも勝ち負けが期待される馬への影響の方が、より馬券的中や競馬予想には役立つと思うからです。

トウケイヘイローの場合

前走1着でなおかつ今走のハンデ重賞も1着になった馬にトウケイヘイローがいます。芝2000メートルの鳴尾記念を56キロで勝ち、続いて芝2000メートルの函館記念を57.5キロで勝ちましたが、走破タイムは函館記念が0.3秒も早かったです。

あれ?斤量が増えたのにタイムが縮まってますね?同じ芝の2000mで、しかも普通は函館の方が小回りで洋芝で…とタイムが遅くなる要素が多そうなのに。

スリープレスナイトの場合

同じような条件で今度は短距離のハンデ重賞でスリープレスナイトがいます。芝の1200メートル戦をオープン特別→ハンデG3→ハンデG3と連勝した馬です。

その内、斤量が変化したのは1回目のハンデG3と2回目のハンデG3の時で、斤量は1キロアップしたにも関わらず、なおかつ2回目のハンデG3では馬場状態が「やや重」であったにも関わらず、タイムは0.5秒も早くなっていました。

まあこの場合は中京→小倉と競馬場が変化したので、小倉競馬場は早いタイムが出る傾向があるので、その影響も多分にあったんじゃないかと思いますね。

ヤマニンキングリーの場合

ヤマニンキングリーも中日新聞杯を勝ったあと、同じ距離の中山金杯に出走し、斤量は1キロ増えたにも関わらず、このケースでもタイムは1秒も早くなっています。

フーラブライドの場合

フーラブライドは愛知杯を50キロで勝った時と、マーメイドステークスを56キロで3着になった時のタイムを比較すると、斤量が6キロも重い愛知杯の方が2.4秒も早かったです。

好調馬には斤量のわずかな差は関係ないかも

こうして見てみると、前走1着を取れる馬というのはそれだけ好調な馬なわけで、好調な馬にとっては斤量が1キロ増えたところで影響が殆ど見られないケースが多いのではないか?という事がおぼろげながら見えてきましたね。

このあとデータを「前走が6着から9着」という馬に絞ってみたんですが、前走と今走の距離が異なるような馬が多く、よくわかりません。ただ、斤量が増えているのに走破タイムは早くなっている馬が思いのほか多かったですね。

私が競馬の負担重量(斤量)はどれぐらい影響がある?で実験した結果から考えても、負担する重量が増えれば増えるほど、スピードが本来より遅くなるのは間違い無いのですが、実際のレース結果を見ると、思ったほどタイムには影響してませんね。

競走馬は同じ距離を走る場合でも、その時の体調や競走馬としての充実度によって、当然タイムが違ってきますし、一緒に走るメンバーのペースや能力、仕掛けるタイミングによってもタイムは違ってきます。

というか同じ斤量でもレースが違えばタイムは違いますし…。

それに考えてみれば、すでに走る気を失くしてしまったような馬や、体調が悪いのに出走手当が欲しいからといって無理やり出走させられた馬に、少々斤量の恩恵を与えたところで、そりゃ勝てんわなぁ…というのも納得できる理屈ではないでしょうか。

1番人気で斤量別にタイムを見てみた

そこで次に過去10年間の、

  • 芝のハンデG3
  • 良馬場
  • 単勝1番人気

という条件を満たす馬だけを抽出して、斤量55キロの場合と斤量56キロの場合で、平均走破タイムに差が見られるかどうかを調べてみました。

55キロで該当したのは15頭で、この15頭の芝2000メートル走破タイムの平均値は1分59秒9でした。次に56キロで該当したのは17頭で、このグループの走破タイムの平均値を見てみると1分59秒5でした。

…。

早くなってる!

うーん、ただこの方法だと1頭や2頭のちょっと早いタイムが出たケースが全体の平均値を押し下げてしまったという事も考えられるわけで、鵜呑みにはできません。

でも調べれば調べるほどに「斤量1キロで1馬身遅くなるよ」という昔からの定説を、ちゃんと立証するのが難しくなるとは思いませんでした。

斤量が競走に影響する事は間違いない

思ったより斤量の影響の程度を検証するのは難しいです。最初にワシュウジョージの話をしましたが、ワシュウジョージもやはり斤量が軽い時の方が勝率は良かったんですよ。

ワシュウジョージが55kg-56kgの斤量の時の成績を見ると(13.5.1.5)なので勝率は0.541となり、62kgを背負った時の成績は勝率にして0.333ですから、やはりこの数字を見ても能力差の調整に斤量は一役買っているように見えます。

重要なポイントは2つあって、1つは昔から言われているように1キロで1馬身の影響を受けるかどうかを少なくとも今回の検証では立証するに至らなかった事。

もう1つは仮に斤量1キロの影響が1馬身だと物理学的には立証できたとしても、実際の競走ではキッチリ1馬身のパフォーマンス低下になるとは限らないという事。

私の経験を振り返ってみても、斤量がある程度の数値に達すると「惜しい競馬」になってしまった馬は過去に数えきれないほどいました。

私が斤量が敗因と思っているだけで、実は別の要因である可能性もありますが、少なくとも長年競馬を見てきた私が「これは斤量の影響以外に説明ができない」と思えるレースは多々ありました。

しかもここ10年間で重賞で59キロを超える設定は無いのだから、近年のサラブレッドが「別に59キロまでなら平気だよ」という体のつくりになっていたとしたら、もはや斤量の1キロの調整など意味があるのかという話にもなりそうです。

北海道には、ばんえい競馬と言って「ばん馬」に重いソリを引かせる競馬があるのですが、そのソリをあえてむちゃくちゃ軽く設定するレースもあり、その場合は大抵勝つのはスピードがある馬です。

負担重量1000キロのレース

第55回ばんえい記念

負担重量500キロのレース

【帯広競馬】スピードスター賞2021 速い速い速い!

まったくスピードが違います。しかし、これが1000キロと990キロとかだと殆どその差はわかりません。普通のサラブレッドの平地競走でも騎手が落馬したカラ馬がよく上位で入線するのを見かけます。

サラブレッドの場合、せいぜい上が59キロ、軽い馬が51キロみたいなのがよく見かける範囲かと思いますが、その程度だとばんえい競馬ほどのわかりやすさは無いにしても、やはり斤量の影響自体はあると言えそうです。

斤量は「馬具+騎手の体重+重り」を合わせた重さなわけで、重りは騎手のベストに装着したりしますから、斤量が重くなればなるほど騎手がつらくなって影響が出る…なんて可能性もありそうです。

普段の重りなしの時とは騎手自身の重心の位置なんかも変わるでしょうからね。と言うわけで斤量1キロが1馬身の影響であるとは言い切れず、馬や騎手や状況による…という事になりそうです。

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